罫引とは平らな木材の表面に線を引く道具です。定規となる板に、細い棹を差し込み、この棹の先に線を罫書く罫引刃を取り付けた道具です。板の側面を沿って、定規板を滑らすことによって棹の先の罫引刃が表面に線をしるします。墨線より細い線をつけますので、精密な仕上げをする場合に利用されます。罫引は大きく分けると、線をしるす「筋罫引」と、罫引刃で直接に薄板を割る「割罫引」があります。「割罫引」はやや大形の罫引です。

1.筋罫引


筋罫引は、基準となる面と平行な線を引くのに使用する。仕事の種類や用途によって、二本棹筋罫引や長棹罫引などもある。二本棹筋罫引は、二本の棹を一枚の定規板の両側で使用することができる。一方の棹の刃で甲の筋を付け、定規板を裏返して反対側の刃で乙の筋を付けるというように、二種類の線を一つの罫引で罫書くことができる。長棹罫引は、幅広の坂などに線を罫書くため、長い棹を仕込んだものをいう。

▲ 左より割罫引、筋罫引、二本棹筋罫引、長棹罫引

2.割罫引

割罫引は、筋罫引よりやや大きく頑丈にできていて、薄い板材などを挽き割る時に使用する。

3.鎌罫引

鎌罫引は、筋罫引や割罫引と違いL字型の罫引刃を二本合わせて仕込んである。L字の長い方の部分を棹の上でスライドさせて幅を調節し、ネジで留める。筋罫引では罫引刃の先端の棹が邪魔になる。

4.鑿罫引

鑿罫引は、断面四角の樟に罫引刃ではなく罫爪を植えたものである。棹は二本や、四本など複数仕込む。柄穴や溝などの幅を決める時に使用し、同時に何本もの線を引くことができる。建具・指物の仕事で多く使われる。

5.白書

白書は、曲尺や巻がねなどを使って部材に正確な線を引くのに使用する。建具・指物などの仕事で多く使われる。平行した二本の線を引く、二丁白書もある。

▲ 奥左より 鎌罫引、鑿罫引(四本棹)、鑿罫引(一本棹)手前左より 鎌罫引一本刃、白書、二丁白書
 
  • ※ 本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第5号-墨掛定規類・罫引・錐篇-』の解説を抜粋したものです。
  • ※ 品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。

墨掛道具

罫引

雑道具